電源の種類


 電源の種類と言っても、実際にFA機器で使われるのは3種類しかありません(まれに他の3種類が用いられることもあります)

 電気屋なら当然知っておられると思いますが、ここでは電気屋以外の方のために簡単に説明します。(難しい実効値などは省きます。詳しいことは専門書を参考にして下さい。)


AC200V三相三線式 3φ3W AC200V

 もっとも一般的な電源です。相とは電圧のズレ方のことで、商用電源には三相と単相しかありません。3本の線の電圧が120°づつずれています。誘導電動機を回すには最適な電源で、機械装置の電源としてはもっともポピュラーです。

 図面上の線番※は通常1次側はR,S,T、二次側はU,V,Wと記載します。

(ちなみに規定にはありませんが大抵S相が接地されています。本当はスター結線(Y結線)の中性点を接地するはずなんですが、日本ではほとんどデルタ結線(Δ結線)が主流なのが原因かな?)

 ちなみに単相200Vの機器も3相3線式の2線を使用することによって、使用可能です。

AC100V単相2線式 1φ2W AC100V

 家庭用の一般電源と同じです。120W以下の小型モーターにはAC200V品が無く、または三相電源が手近に無い場合に使用されます。モーターを回すのにコンデンサーが必要なこと、および電流値が倍以上(単相モーターは三相モーターより効率が悪い)になるので、機械装置の電源としてはあまり使用されません(卓上用などの小型機器を除く)

線番はL,Nと記載するのが一般的です。(N側が接地されています)


AC200V単相三線式 1φ3W AC200V

 一般家庭ではよく使われますが、機械装置ではあまり使用されません。大量にAC100Vの機器を使用する時に使います。ひとつの電源からAC200VとAC100Vが得られます。逆にいうと誤配線された場合AC100V用の機器にAC200Vが印加され損傷の原因になりますので、配線の際には注意を要します。線番はL1,N,L2が標準です。L1−N間がAC100V、N−L2間AC100V、L1−L2間がAC200VありNが接地されています。

 なお、Nが断線した場合に抵抗値(容量)の違いにより、例えばL1−Nの回路に40W、N−L2回路間に200Wの機器が接続されている場合に40W側の機器にAC167Vもの電圧がかかります。それを防止するため、中性線欠相保護機能付きのブレーカーを用いる必要があります。

 三相三線式との見分け方は簡単でテスターで電圧を測った場合の3線ともAC200Vが出るものが三相三線式で、2線間だけでAC200Vが出るのが単相三線式です。

DC24V

 制御系のセンサー,電磁弁(業界ではバルブと総称)などの電源です。つまり動力機器以外の大抵の電源はDC24Vが用いられます。線番は会社によってまちまちで+側をP,−側をNとしたり、+側をVCC,−側をGNDとしたりします。ちなみに私は+側をP24,−側をN24と決めています(つまりDC5Vがある場合はP5とするわけです)

 以前は電磁接触器(業界ではマグネットと総称)などの消費電力が大きく直接DC24Vで駆動できない場合にリレーで一旦中継し、AC200VやAC100Vなどに変換していた時代もありましたが最近は高感度接触器などの登場により、DC24Vで直接駆動するのが一般的になっています。


以下はあまり使われない電源です


AC400V三相三線式 AC400V3φ3W

 モーター等の容量の大きい負荷が多い、プラント等に使用されます。AC200Vに比べ電流が半分になり、電線を細くできますので配線工数が下がりますが対応機器が少ないので選定には注意が必要です。

 (参考:中国等では3相電源がAC400Vしかなく、注意が必要です。ちなみに中国の単相は200Vです)


DC5V

 電子基板では一般的ですが、電圧が低すぎ耐ノイズ性が要求されるFA機器ではあまり使われません。

 高速応答性が要求される、ロータリーエンコーダー(軸の角度を計測するセンサー:レゾルバとも呼ばれる)などに使用されます。


DC12V

 以前フォトマイクロセンサー(超小型光電センサー)などはDC24Vで使用できず、フォトマイクロセンサー専用の電源などとして使われました。フォトマイクロセンサーは現在DC24Vで使用できるため、最近はあまり使われません


 ※電線に取り付ける電線番号の刻印されたチューブ・誤配線防止とメンテナンス時のわかりやすさのために取り付けます。

2001/12/19


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