検察審査会


 平成12年の2月〜8月まで検察審査会に任命されていました。5月〜8月までは、なんと検察審査会長を勤めていました。検察審査会は一般の人が法律(司法)に関われる唯一の機会です。法律に素人だからなんて関係ありません。なんと、人選はくじ引きです。

検察審査会法(抜粋)

第1条 公訴権の実行に民意を反映せしめてその適正を図るため、政令で定める地方裁判所及び地方裁判所支部の所在地に検察審査会を置く。但し検察審査会の数は200を下ってはならず、且つ、各地方裁判所の管轄区域内に少なくてもそのーを置かなくてはならない
 検察審査会の名称及び管轄区域は、政令でこれを定める
第2条 検察審査会は、左(原文では縦書き)の事項を掌る。
 1.検察官の公訴を提起しない処分の当否に関する事項
 2.検察事務の改善に関する建議又は勧告に関する事項
 検察審査会は、告訴若しくは告発をした者、請求を待って受理すべき事件についての請求をした者又は犯罪により害を被った者に申し立てあるときは、前号第1号の審査を行わなければならない。
 検察審査会は、その過半数の議決があるときは、自ら知りえた資料に基き職権で第1項の審査を行うことができる。
第3条 検察審査会は独立してその職権を行う
第4条 検察審査会は当該検察審査会の管轄区域の衆議院議員の選挙権を有する者の中からくじで選定した11人の検察審査員を以ってこれを組織する

 この法律は戦後アメリカに、陪審(有罪無罪を決定するアメリカの法廷陪審の制度)と大陪審(起訴、不起訴を決定する制度)両者とも公正を図るため、有権者よりくじ引きで選ばれる有権者の義務として認知されている制度を、日本にも定着させようとして、妥協の産物として作られた制度です。

 原型となるアメリカの大陪審の権限は強大で、検察官が「起訴の許可」をもらいにいくとろです。大陪審は制度の上では誰であろうと起訴できますし、滅多にありませんが証拠が足りなかったり、警察の違法捜査を理由に起訴を拒否(不起訴)することもできます。日本では警察,検察側のよこやりで不起訴の審査しかできないように骨を抜かれてしましたが...

 それでも、半年交代で審査員が代わるため癒着が難しく、各種のチェック機関(例えば公安委員会など)と違いちゃんと機能しているようです。たまに新聞に「どこそこの検察審査会で「不起訴不当」の決定」などの記事がたまにあります。事実上警察が自分で選ぶ「公安委員会」などとは違います。警察の犯罪(不当行為等)を訴えたい方は「地検」に真っ直ぐ行って下さい。そうすれば、なんらかの圧力で不起訴になっても、検察審査会が「不起訴不当」「起訴相当」の決定をしてくれるかも知れません。送検されていない事件(もみ消し等)はそもそも検察に事件が行っていないので、検察審査会では動き様がありません。

 検察審査会は事件の被害者の要請を受け、以下の3つの議決を下します。

第30条 告訴若しくは告発をした者、請求を待って受理すべき事件についての請求をした者または犯罪により害を被った者は、検察官の公訴を提起しない処分に不服がある時は、その検察官の属する検察庁の所在地を管轄する検察審査会にその処分の当否の審査の申し立てをすることができる。(以下略:独禁法と公正取引については管轄が異なる)
不起訴相当 検察官の判断に誤りはない
不起訴不当 検察官の判断には疑いがある(過半数の票で成立11人中6人)
起訴相当 検察官の不起訴は不当である。起訴すべき事件である(11人8人の票が必要)

 権限も結構強力で、抜粋ですが

第35条 検察官は、検察審査会の要求があるときは、審査に必要な資料を提出し、または会議に出席して意見を述べなければならない
第36条 検察審査会は、公務所または公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる
第37条 検察審査会は、審査申し立て及び証人を呼び出し、これを尋問することができる。
 検察審査会は、証人がその呼び出しに応じないときは、当該検察審査会の所在地を管轄する簡易裁判所に対し、証人の召喚を請求することができる
 前項の請求があったときは裁判所は、召喚状を発しなければならない
 前項の召喚については、刑事訴訟法を準用する(注:つまり出頭しないと逮捕される)
第38条 検察審査会は、相当と認める者の出頭を求め、法律その他の事項に関し専門的助言を徴することができる
第40条 検察審査会は審査の結果議決したときは、理由を附した議決書を作成し、その謄本を当該検察官を指揮監督する検事正および検察官適格審査会に送付し、その議決後7日間当該検察審査会事務局のある掲示場に議決の要旨を掲示し、かつ第30条の規定による申し立てにかかる事件についての議決の要旨をこれに通知しなくてはならない
第41条 検事正は、前条の議決書謄本の送付があった場合においては、その議決を参考にし、公訴を提起すべきものと思料するときは、起訴の手続きをしなければならない
第42条 検察審査会は、いつでも、検察事務の改善に関し、検事正に建議または勧告することができる。

 となっています。検察審査員は「くじ引き」で選ばれるため、次はあなたの番かも? その時はきちんと職務を遂行してくださいね。正当な理由無く召集に応じないと罰金刑になります(国民の義務なのです) なお、審査会議は非公開のため、私の審査した内容はかけません... これまた罰金刑です。なお、警察の「青切符」と異なり正式に裁判所の下す刑事罰なので前科一犯になります。

 ついでに一番最初にきた召喚状と感謝状を飾っておきます(笑)

召喚状   感謝状

2002/01/30

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